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自治体とともに進めるアスベスト対策──神戸市・明石市での研修から見えたこと
アスベスト問題は、全国の自治体にとって避けて通れない課題です。公共施設の改修や解体、学校建築の長寿命化工事などでは、正確な事前調査と適切な工事が、市民の安全と事業の円滑な進行を左右します。
アスベスト調査分析株式会社(ARA)は兵庫県神戸市・明石市それぞれと連携し、自治体職員向けの研修会を実施しました。今回の研修は、市民の安心安全を守ることと同時に、公共工事の適正な発注・管理を支えることを目的としています。
研修の内容と特徴
両市での研修は共通して、以下の流れで進められました。
・基礎理解:「アスベストとは何か」「どんな建材に含まれるのか」
・調査の実務:書面調査・目視調査・試料採取から分析・報告書作成まで
・除去工事の要点:レベル1〜3の在来工法、最新技術(湿式工法やウォータークリーンなど)
・発注者の視点:調査報告書の読み方、説明責任の果たし方
・トラブル事例:市営住宅や学校での見落とし、分析不一致による費用増など、全国の実例を共有
さらに、実務直結のテーマとして次の内容を扱いました。
・法定化された工作物石綿調査(2025年1月施行)
・DXアプリ「アスレポ」活用の推奨
・石綿含有建材ごとの対策工事(レベル1〜3)
・計画書・報告書のチェックポイント
実地研修の特徴
今回の研修では、座学にとどまらず実地研修を導入した点が大きな特徴です。
・建材の特徴や調査時の着眼点を、実物サンプルを前に具体的に解説
・アスレポproを使ったDX化された現場調査手法も紹介
・対策工事の仮設計画における注意点
(隔離養生・負圧保持・搬出経路など)をシミュレーション形式で共有
・現地の発電機設備や排煙設備などを活用した工作物調査についても解説し、
参加者から特に高い評価を得ました。
このように、座学+体験+現場シミュレーションを組み合わせることで、理解が「知識」から「実感」へとつながる構成になっていました。
参加者の反応
アンケートでは、両市ともに高い満足度が得られました。特に評価されたのは:
・「実際の建材や設備を前に学べたので理解が深まった」
・「仮設計画の重要性を具体的にイメージできた」
・「教科書通りの講習だけでなく、現場に即した(金額面含め)講習だった
・「報告書の見方が明確になった」
・「アスレポ(調査DX化)が知れてよかった」
・「自治体の工作物調査への準備の不十分さを実感した」
・「全国の事例やトラブルを交えた話がリアルだった」
研修の意義
神戸市・明石市での研修を通じて明らかになったのは、次の3点です。
1.行政内部の知識強化
職員が調査や報告の要点を理解することで、市民への説明や公共工事の管理・監督が確実になります。
2.実務に直結する知識提供
調査フローや工法、トラブル事例を一体的に学ぶことで、工事計画・現場判断の精度が高まります。
3.市民への安心感と公共工事の適正管理
自治体が率先して学ぶ姿勢を示すことで、市民からの信頼につながると同時に、公共工事の品質確保にも直結します。
まとめ
神戸市と明石市それぞれで実施した研修は、共通して「調査・工事・報告の三位一体理解」を重視し、さらに法令遵守・DX活用・工法理解・報告書精査**を包括的に扱いました。
加えて、実地研修による体感的理解の提供が大きな成果となりました。
アスベストは目に見えないリスクだからこそ、最新の法令・技術・実例をまとめて学ぶ場が重要です。
ARAは今後も、自治体と連携しながら、市民の安全と公共工事の品質を守るための取り組みを続けていきます。
今後に向けて
今回のような研修は、交通費のみのご負担で開催可能です。資料作成や講師費用はすべてARAが負担し、官民問わず幅広くご参加いただけます。
自治体職員の方はもちろん、企業や団体の皆さまも対象に、最新の法令・調査技術・工事手法を学べる場をご提供いたします。
「まずは基礎理解から」「現場で役立つ実地研修まで」と段階的に対応可能ですので、関心をお持ちの方はぜひお気軽にお問い合わせください。