※出典:アジアプレス・ネットワーク(2025年4月22日)🖊 著者:井部正之 様🔗 記事全文はこちら
概要(要約)兵庫県宍粟市の市民センター波賀の解体工事において、調査会社が最も危険性の高いレベル1のアスベスト(吹付け材)やレベル2(断熱材)などを見落とし、住民への説明でも除去作業の時期に関して虚偽の情報を伝えていたことが明らかになりました。有資格者による調査であったにもかかわらず、最低限の視認確認も怠っていた点が問題視されています。
主な問題点(記事より)• アスベストの見落とし 当初の調査では、飛散性が低いとされる「レベル3」のアスベストのみが存在するとされていましたが、実際には最も危険性が高い「レベル1」の吹付け材や「レベル2」の断熱材など、少なくとも58カ所で見落としがありました。
• 虚偽の住民説明 市は2024年8月にアスベスト除去作業をほぼ終了していたにもかかわらず、9月の住民説明会で「これから除去作業を開始する」と虚偽の説明を行い、県の立ち入り検査時に住民との会話から虚偽が発覚しました。
• 調査者の資格と責任 調査を担当したHER社の「建築物石綿含有建材調査者」は有資格者でありながら、露出していて容易に視認できるアスベストを見落としており、調査のずさんさが浮き彫りとなりました。
背景と影響この事例は、アスベスト調査の信頼性と行政の情報公開のあり方に深刻な疑問を投げかけています。特に、調査者が有資格者であったにもかかわらず多くの見落としがあったこと、また市が住民に対して虚偽の説明を行ったことは、今後の公共施設の解体や改修工事におけるアスベスト対策の在り方に大きな課題を提示しています。このような問題は、他の自治体でも発生しており、全国的なアスベスト対策の強化と、調査・除去作業の透明性確保が強く求められています。
アスベスト調査分析㈱(ARA)としての見解本件は、弊社とは関係のない第三者企業による事案ですが、アスベスト調査という極めて社会的責任の重い業務に携わる立場として、私たちはこの問題を重大な教訓として受け止めています。今回のように、視認可能なアスベストを見落とすこと、また住民に虚偽の説明を行うことは、単なる技術的なミスではなく、そもそもの真摯さと誠実さの欠如によるものだと私たちは考えます。調査において最も重要なのは、「見逃さない」「隠さない」「誤魔化さない」という姿勢です。たとえ不都合な結果であっても、正確に伝え、関係者に正しい判断材料を提供することが、調査者の最も基本的な責任です。
私たちの基本姿勢と今後の取り組みアスベスト調査分析㈱では、次のような原則に基づいて行動しています。私たちは、技術力や資格に先立って、「誠実さ」「真摯さ」を最も大切にしています。アスベストは見えづらく、判断の難しい場面もあります。だからこそ、都合の悪いことも正しく報告し、関係者と情報を共有する責任があると考えています。
また、どれだけ注意してもヒューマンエラーはゼロにはなりません。だからこそ私たちは、「ヒューマンエラーを前提とした防止策の徹底」が不可欠であると考え、以下のような体制を整えています。今後の取り組み:• 二重チェック体制の導入 調査現場では、複数の有資格者によるダブルチェックを徹底し、見落としを防ぎます。• 調査データのデジタル記録とレビュー体制の構築 社内アプリ「アスレポ(Asrepo)」により、調査情報をリアルタイムで記録・共有・検証しています。• 透明性と説明責任の強化 調査報告書の内容は依頼主や住民にも丁寧に説明し、疑念や不安を残さない情報公開を実施しています。• 定期的な教育研修と失敗事例の共有 現場対応力を高めるため、ヒヤリ・ハットや他社事例のフィードバックをもとに継続的な教育を行います。
アスベスト調査は、目に見えないリスクを見極め、社会の安心・安全を守る仕事です。だからこそ、私たちは常に**「見逃さない仕組み」「ごまかさない姿勢」「共有する責任」**を柱に、業界全体の信頼を守る存在であり続けることをお約束します。
Read More