
- 一般
【前編】では、アスベスト事前調査における「制度の本質的な目的」や「調査者の責任」、そして実務現場で起こりうる誤解について解説しました。
とくに強調したのは以下の点です:
本記事(後編)では、それでもなお工事中にアスベストが見つかった場合、どのような対応・判断が求められるのか、法的義務やリスクを整理してお伝えします。
工事が進む中で、現場作業員の一人が「これ、アスベストじゃないか?」と呟いた瞬間。
現場の空気は凍りつきます。作業は止まり、監督者・元請・発注者まで緊張が走る。
なぜなら、対応を誤れば即、法令違反・工期遅延・風評被害・賠償責任へと発展するからです。
よくあるのは、以下のようなケースです:
つまり、**“非含有とされた場所”からアスベストが出てきた、というより「調査範囲から漏れていた場所」**から発見されることが多いのです。
さらに問題なのは、「分析しかしていなかった」ケース。
現地調査を省略し、採取分析だけを行って『事前調査済み』と誤認されていた例も少なくありません。
これでは、**石綿障害予防規則(石綿則)第3条の2が求める調査要件を満たしておらず、法的には“調査をしたことにならない”**のです。
**アスベストが工事中に発見された場合、第一にやるべきは「作業の一時中止」**です。
続いて、所轄の労働基準監督署・環境省出先機関(自治体や保健所)へ速やかに報告する義務があります。
🔹【法的根拠】
労働安全衛生法 第88条
石綿障害予防規則 第3条の2、第5条
大気汚染防止法 第18条の15〜17
事前調査の未実施、報告漏れ、不適切な除去対応などが発覚した場合、
労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づく罰則が科される可能性があります。
「知らなかった」「過去の調査を信じた」では通用しません。
過失があれば“法違反”として処罰される現実を、発注者・元請・調査者全てが認識する必要があります。
アスベスト含有が確認された場合、再スタートには以下が必要です:
除去作業時は、レベル1やレベル2であれば「特定粉じん排出等作業」としての届出が必要であり、
石綿作業主任者の管理下で、隔離・湿潤・負圧・飛散防止措置を徹底しなければなりません。
この段階で最も問われるのは、
「なぜ、事前調査で見つからなかったのか?」
「これは予見できなかった“事故”か、それとも“調査の不備”か?」
という説明責任です。
過去の判例や指導事例でも、「見つかったこと」よりも
「なぜその箇所が調査対象とされていなかったのか」が強く問われる傾向にあります。
つまり、調査報告書に「なぜ非含有と判断したのか」を記録していないと、施工主・発注者・調査者すべての信用が揺らぐのです。
ARAでは、万一、調査範囲外でアスベストが見つかった場合でも:
といった対応が可能なよう、**「判断理由の記録と可視化」**を徹底しています。
報告書とは、「未来の自分や他者が読んでも筋が通る文書」であるべきだと考えています。
アスベスト調査とは、「とりあえず分析をして終わり」ではありません。
このような積み重ねが、「もしアスベストが見つかった」とき、
“想定外”ではなく、“想定済のうえでの結果”として、堂々と説明できる未来をつくります。
信頼できる調査会社・分析会社をどう見極めるべきか。
次回は、制度・実務・現場感をふまえたチェックポイントを徹底解説します。
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