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ARABlog

2025.08.07
  • 調査

【後編】もし、工事中にアスベストが見つかったら― 現場が止まり、報告義務が発生し、責任が問われる ―


■ 前編のおさらい──“見落とし”ではなく、“そもそも見ていなかった”

【前編】では、アスベスト事前調査における「制度の本質的な目的」や「調査者の責任」、そして実務現場で起こりうる誤解について解説しました。
とくに強調したのは以下の点です:

  • 「分析だけ」は事前調査ではない(書面・現地・採取・分析・記録を含む一連の工程)
  • 「前回調査済み」「過去に除去済み」への過信こそが落とし穴
  • “非含有と判断した根拠”を説明できなければ、調査とは言えない

本記事(後編)では、それでもなお工事中にアスベストが見つかった場合、どのような対応・判断が求められるのか、法的義務やリスクを整理してお伝えします。


■ 見つかったとき、それは「突発的な異物」ではなく「想定外の見落とし」

工事が進む中で、現場作業員の一人が「これ、アスベストじゃないか?」と呟いた瞬間。
現場の空気は凍りつきます。作業は止まり、監督者・元請・発注者まで緊張が走る。
なぜなら、対応を誤れば即、法令違反・工期遅延・風評被害・賠償責任へと発展するからです。

よくあるのは、以下のようなケースです:

  • ✔ そもそも調査対象とされていなかった箇所(天井裏、床下、ボードの二層目など)
  • ✔ 「見落とした」のではなく、「最初から見ていなかった」部位
  • ✔ 解体して初めて現れた、構造的に想定されていなかった部材

つまり、**“非含有とされた場所”からアスベストが出てきた、というより「調査範囲から漏れていた場所」**から発見されることが多いのです。

さらに問題なのは、「分析しかしていなかった」ケース。
現地調査を省略し、採取分析だけを行って『事前調査済み』と誤認されていた例も少なくありません。
これでは、**石綿障害予防規則(石綿則)第3条の2が求める調査要件を満たしておらず、法的には“調査をしたことにならない”**のです。


■ 初動対応:まず作業を止め、所轄行政機関へ連絡を

**アスベストが工事中に発見された場合、第一にやるべきは「作業の一時中止」**です。
続いて、所轄の労働基準監督署・環境省出先機関(自治体や保健所)へ速やかに報告する義務があります。

🔹【法的根拠】
労働安全衛生法 第88条
石綿障害予防規則 第3条の2、第5条
大気汚染防止法 第18条の15〜17

🔗 環境省:アスベスト対策関連資料
🔗 厚労省:アスベストQ&A(2023年改訂)


■ 罰則は?──“知らなかった”では済まされない

事前調査の未実施、報告漏れ、不適切な除去対応などが発覚した場合、
労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づく罰則が科される可能性があります。

  • 最大で 懲役6か月以下または罰金50万円以下(安衛法)
  • 法人に対する両罰規定により、企業としても罰金対象に
  • 行政指導・指名停止・元請・自治体への報告義務違反による取引停止などもありうる

「知らなかった」「過去の調査を信じた」では通用しません。
過失があれば“法違反”として処罰される現実を、発注者・元請・調査者全てが認識する必要があります。


■ 作業計画の見直しと、届出・周知の再構築

アスベスト含有が確認された場合、再スタートには以下が必要です:

  • 除去 or 封じ込め方法の再検討
  • 作業計画書の再作成
  • 労基署・自治体への再届出(石綿則・大防法)
  • 周辺住民・掲示物などの説明責任の再整理

除去作業時は、レベル1やレベル2であれば「特定粉じん排出等作業」としての届出が必要であり、
石綿作業主任者の管理下で、隔離・湿潤・負圧・飛散防止措置を徹底しなければなりません。


■ 発注者・元請に問われる「原因と責任」

この段階で最も問われるのは、

「なぜ、事前調査で見つからなかったのか?」
「これは予見できなかった“事故”か、それとも“調査の不備”か?」

という説明責任です。

過去の判例や指導事例でも、「見つかったこと」よりも
「なぜその箇所が調査対象とされていなかったのか」が強く問われる傾向にあります。
つまり、調査報告書に「なぜ非含有と判断したのか」を記録していないと、施工主・発注者・調査者すべての信用が揺らぐのです。


■ ARAが実践する“説明できる調査”の体制

ARAでは、万一、調査範囲外でアスベストが見つかった場合でも:

  • 調査記録(図面・写真・履歴)の再検証
  • 調査対象としなかった理由の説明
  • 再現地調査・追加分析の実施
  • 報告書の再発行や補足説明書の提出

といった対応が可能なよう、**「判断理由の記録と可視化」**を徹底しています。

報告書とは、「未来の自分や他者が読んでも筋が通る文書」であるべきだと考えています。


■ 最後に──調査精度が、現場と信用の“命綱”になる

アスベスト調査とは、「とりあえず分析をして終わり」ではありません。

  • 書面と現地の整合
  • 採取位置と建材構成の読み解き
  • 非含有とした判断根拠の説明可能性
  • 疑わしきは保留する勇気

このような積み重ねが、「もしアスベストが見つかった」とき、
“想定外”ではなく、“想定済のうえでの結果”として、堂々と説明できる未来をつくります。


🔖 次回予告【特別編】

信頼できる調査会社・分析会社を選ぶために

~安心して任せられるパートナー選びのポイント~

信頼できる調査会社・分析会社をどう見極めるべきか。
次回は、制度・実務・現場感をふまえたチェックポイントを徹底解説します。


建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル | 大気環境・自動車対策 | 環境省

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