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2025.08.07
  • 調査

【前編】アスベスト事前調査、“見落とし”ではなく“最初から見ていない”現実

──それでもあなたは「想定外だった」と言えますか?


◆ “突然の発見”ではない現実

内装解体の途中、壁や天井を剥がした先から、想定外のアスベスト建材が現れる。
現場が止まり、職人が後ずさり、発注者の表情が険しくなる——。
そんな光景は、今も各地の工事現場で起きています。

このようなケースの多くは、「不測の事態」と片付けられがちですが、本当にそうでしょうか。
実際には、「本来、調査対象に含めるべきだった場所」が、最初から調査範囲に入っていなかった例が少なくありません。
つまり、「見落とした」のではなく、「最初から見ていなかった」——
そのような“調査もどき”が、依然として現場に生じているのが現実です。


◆ アスベストの事前調査とは何か?

石綿障害予防規則(石綿則)は2014年の改正により、建築物の解体・改修工事において事前調査の実施を義務付けました。
さらに2021年にはその対象がすべての建材に拡大され、
2022年4月1日からは、**一定規模を超える場合の事前調査結果の報告義務(電子届出)**が新たに課されています【※1】。

この「事前調査」は、以下の3ステップで構成されます:

  1. 書面調査(設計図書・改修履歴等の確認)
  2. 現地調査(目視による仕上げ材や構造の確認)
  3. 必要に応じた検体採取と分析

調査者がこれらを順序立てて実施し、総合的に判断したうえで報告書を作成することが制度上の前提です。


◆ 「分析=調査」という誤認が後を絶たない

しかし現実には、この3ステップのうち、「3. 検体採取と分析」だけを行い、
分析結果をもって「調査は済んでいる」と考える発注者・事業者が多数存在します。

中には、発注側の官公庁ですら「分析=調査」と誤認した案件も報告されています。
これは調査の本質と大きく剥離した誤解であり非常に危険です。

なぜなら、調査者には、**工事対象に応じて「どこを」「どの建材を」「どこまで採取・分析すべきか」**を判断する責任があるからです。
分析結果が正確でも、採取範囲が不十分であれば、報告書として成立しません。


◆ 分析の役割と限界

分析は、図面がない建物、判断の難しい建材、構造が複雑な建物において、
極めて強力なエビデンスとなる重要な手段です。
しかしこれは、書面・現地調査を適切に行ったうえで初めて意味を持つものであり、
単独で行っても制度の趣旨には沿いません。

厚生労働省の「石綿事前調査に係る講習制度ガイドライン(令和4年8月版)」では、調査者の義務として以下が明記されています:

調査対象の全体構造、築年数、仕上げ材の履歴等を把握し、調査対象外の見落としがないよう配慮すること
(p.8)【※2】


◆ 「前回の調査結果があるから今回は不要」……本当に?

もう一つ多い誤認が、
**「過去に調査を行っているので今回も不要」**という考えです。

しかし、過去の調査が

  • 今回の工事対象と完全に一致しているか
  • 使用された手法や範囲が制度的に正当だったか
    を確認しない限り、その判断は非常に危険です。

「前回済んだから今回は不要」と決めて工事を進めた結果、
アスベストが発覚して現場が中断する──そんなリスクを伴う事例も、現場では度々起きています。


◆ 繰り返される“調査済”の誤認、その先にあるリスク

制度は整ったものの、「やったふり調査」や「分析だけ納品」がまかり通る現場では、
調査の不備が現場・発注者・住民すべてをリスクにさらします

本当に必要なのは、制度に沿った“まじめな調査”です。


◆ 次回:後編に続く

後編では、

  • 実際に起きた調査漏れによるトラブル事例
  • 調査制度の落とし穴
  • 調査者・発注者が取るべき対策

などを、実務視点で解説します。


📚 出典・参考資料

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